日中アニメ交流構想

日本-中国のアニメ作品のビジネス的連繋・交流は、今後、急速な拡大が見込まれています。

長い歴史をもつ日本のアニメ産業は、制作会社内のコーディネーションにノウハウがあり、中国企業(とりわけマーケティング技術や組織面ですでに確立されている制作会社)が最も必要とする資源と合致しています。

また、こうした日本の大手制作会社と中国の低コスト制作高マーケティング技術会社が、事業提携だけではなく、合弁企業の実例をつくることにより、お互いがともに中国市場で利益をあげることができるモデルを創生できます。販売が中国市場、制作が日本企業、制作発注が中国企業という形態ではなく、合弁企業が中国市場にともに挑戦するモデルです。

これまで、こうしたモデルが登場しなかった背景には、

1,中国市場が未成熟で日本企業にとっては魅力的でなかった。

2、日本のアニメ産業は成熟しているので制作会社ではなく著作権管理会社やマーケティング会社などが進出し、中国側の需要(営業は要らないが、技術で提携したい)と合致していなかった。

3、中国の法制度が外資企業に対して厳しかった。(現在はほとんど緩和され、日本の制作会社が少ない資本で段階的にJVを組める法制度にある)

4,中国政府が誘致する際に、日本側にアプローチする先は、日本政府であり、日本政府は日本のアニメ産業の構造にのっとって、大手の著作権管理会社などに丸投げするだけであった。(ゆえに、日本の制作会社に具体的な話がまわるのが困難な状況であった)

5,中国のアニメ会社は大手であっても、日本の個別アニメ制作会社に関する情報が入手しにくい状況であった。

といった課題がありました。

以上の問題点を解決することで、日本アニメ漫画制作企業と中国アニメ漫画企業のこれまでにない、提携モデルが確立できます。

また、日中の両国におけるビジネスモデルの構築を支援するためには、段階的な施策により、両国の産業が円滑に協力関係を構築し、「情報の非対称性」を段階的に解消する必要があります。

第一段階、両国の政府・業界団体・大学等機関などの支援によりCOOL JAPAN(中国における日本のACG産業の紹介)ならびにCOOL CHINA(日本における中国のACG産業の紹介)と表したイベントなどを展開する。これにより、広く一般市民ならびに政府関係者、産業界関係者、学会関係者に対し相手国のACG産業を認知させる機会を設ける。

第二段階、第一段階によって相手国のACG産業についての「情報の非対称性」がある程度解消された後に、双方の企業が直接交流の目的をもってCOOL JAPANおよびCOOL CHINAを産業交流イベント等に発展させる。いわゆるB2Bの取引が可能になるように支援し双方の産業にとってのそれぞれの「強み」、「弱み」を直接的企業対話により解決できるプラットフォームを提供する。

第三段階、日本ならびに中国において、政府部門等と協力しながら法的手続き、税務手続等を連合会が支援し、ACG産業における多国籍ジョイントベンチャー等が円滑に設立できるように、インキュベートする。最終的に双方のACG産業が国際的な競争優位を得られるような協力関係を築く。

これらの各段階は明確に分断することなく、外部環境を考慮しながら、有機的に段階の移行を行う必要があります。

今回の夕張映画祭は、この第一段階、両国のアニメ作品の認知、普及を大きく進めるイベントとして開催されます。